DICE

MDPF利活用事例 Vol.7

RDEシステムを活用したデータ駆動的アプローチによる材料開発の促進

永田氏写真





 永田賢二
 NIMS
 マテリアル基盤研究センター 材料設計分野
 データ駆動型材料設計グループ 主任研究員
 プロフィール

※この利活用事例は、2025年7月8日に開催した第6回 技術開発・共用部門オープンセミナー ~MDPF利活用事例の紹介 [RDE]~(題目:RDEシステムを活用したデータ駆動的アプローチによる材料開発の促進 講師:永田賢二氏)を基に作成したものです。

ポイント

  1. RDEは研究データを「構造化」し、再利用可能な研究資産として蓄積できる。
  2. 構造化されたデータは、ベイズ推定やスパースモデリングなどのツールで解析でき、少数データからも知見を導ける。
  3. 登録者自身が解析結果や設計指針を得られる仕組みにより、研究現場で登録する価値を実感できる。

背景と目的

材料研究の現場では、計測データが装置や研究室ごとに形式も粒度も異なり、再利用や比較が難しいという課題がありました。RDEはこれらのデータを「構造化」して整理・意味づけすることで、研究者が共通の環境で解析・知見化できる基盤を提供します。本事例では、構造化を出発点としたデータ駆動的なアプローチが、どのように材料開発を促進するかを紹介します。

本講演の概要

図1 RDEは、物質・材料に関する研究データを登録し、構造化してクラウド上に保持することが可能なシステムです。データを単にExcelやPDFで置くのではなく、いつ、どの装置で、どのような条件で取得したかといったメタ情報を付与し、解析や再利用が可能な形に処理することができます。この「構造化」によって、データが分類・整理され、グラフ化や統計処理、特徴量の抽出など、後の解析で活かせる形になります。RDEは、マテリアルDXプラットフォーム構想の中核的なシステムとして、材料開発を支援する役割を担っています(図1)


図2 RDEでは、登録された実験データをもとに、ベイズ推定に基づくピークの抽出などの自動解析を行うことができます。たとえば、XPS(X線光電子分光)のデータを登録すると、RDEを介してフィッティングを行い、ピークの個数や位置、強度、幅などを推定します。このとき、ピークの個数が何個であるかという確率を計算できることが大きな特徴です。さらに、各ピークのパラメータには信頼度(エラーバー)も付与されます。これにより、従来は人の判断に依存していた解析を、客観的かつ再現性の高い形で実行することが可能になります。生データをテンプレートを介して登録するだけで、RDEがそのデータを構造化し、解析・活用できる形に整備してくれます。(図2)


図3 RDEで抽出した特徴量と材料特性を結びつける解析として紹介したいのがスパースモデリングです。磁石材料のXRDデータを用いた事例になります。4つのピークに対して強度・幅・面積を変数として合計16項目を設定し、それらと最大エネルギー積(BHmax)との関係をスパースモデリングで解析しました。結果として、第3ピークの強度と面積がBHmaxに最も寄与することが示されました。この解析により、「結晶面の配列を少し乱すことで性能が上がる可能性がある」という設計指針が導かれました。(図3)


図4 本講演では、RDEを活用して「データを構造化し、特徴量を抽出し、相関を解析する」一連の流れを紹介しました。RDEは、研究データの登録を通じて、解析・可視化・特徴抽出を誰でも行える環境を提供します。研究者は自分の実験データを「活かせるデータ」として扱うことができ、データ駆動的な材料開発を実践できるようになります。(図4)


本事例で使われたDICEサービス

RDEロゴ   https://dice.nims.go.jp/services/RDE/

セミナーアーカイブ動画


第6回 技術開発・共用部門オープンセミナー動画
(講師:永田賢二氏)

本件に関する問合わせ先

国立研究開発法人物質・材料研究機構
技術開発・共用部門 運営室
Email: mdpf-pr=ml.nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)

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